Top/Prologue

施設概要/交通
・交通ワンポイント

●コラム
1.オリスタとは
2.スタンド概要
3.内外野スタンド
4.フィールド

5.問題点
6.主な公式戦
7.人工芝
8.おわりに

●過去のプロ野球
2004年
2003年
2002年
2001年
2000年



スタジアムの位置

長野市
長野市教委体育課

信濃毎日新聞
信越放送
長野放送
テレビ信州
長野朝日放送

JR東日本 長野支社
しなの鉄道
長野電鉄
川中島バス

日本道路公団
東京管理局西局
国土交通省
関東地方整備局
長野国道事務所

長野マラソン



開場と同時に、問題点が続出
 …とまあ、ここまで素晴らしい設備の整ったスタジアムを見て、新潟県民の皆さんは「はー羨ましい」と思われたことだろう。

 だが、このスタジアム、いくつか設計上の問題点を指摘されている。最初に挙げたように、このオリンピックスタジアムは当初、長野オリンピックでは開閉会式の会場として使用し、五輪終了後に野球場として整備された。これが伏線となって、また野球場として改修する段階での設計が不備、或いは認識の不足があったために、構造の一部に問題があることを指摘されている。

 事の始まりは、00年8月に対ヤクルト戦を行った広島の球団関係者が、同年1月末、このオリンピックスタジアムを事前視察に訪れた際の話。広島の太田球団部次長、藤井善之第一営業課長らは場内を確認した後、こう言ったという。「野球の為に造られた球場の場合、プレーが見えない席があることはあり得ない」。
 一体どういう話かというと、こうである。


開場当時の“ネットポール、フィールドを遮断す”の図。
ネット裏・一塁寄りの席からバッテリー間を見ようとすると、
この通り、バックネットの支柱が視界を大きく遮っていた。
野球を見に来たのか、それとも柱を見に来たのか。



 その際、広島フロント陣が指摘したのは、観戦しづらい座席3点・5ヶ所についてだ。

 まず、指摘されたのが一・三塁側の席の一部。
上の写真のように、柱が立っている。これはバックネットを支える、直径60cmの支柱。本塁と支柱を結んだ延長線上の席からは、本塁付近が非常に見えにくくなっている。設計を担当した東京の設計事務所は「当初はスタジアム本体からバックネットを吊るす形で設計したが、長野市側から“耐震性を重視して欲しい”と申し出があったので、変更した」という。
 プロ本拠地では、このようにフィールド上に支柱を設けてネットを吊るしているケースは皆無。全国の主な球場でも、この方式は余り用いていない。
 ここの場合、2階スタンドがあるので、そこにアンカーを打ち込んでワイヤーを渡して、ネットを吊るす方式にすべきだったのではないか。恐らく、当初の図面もそうであったろうし、そうすべきだっただろう。市には多分、このスタジアムが防災基地の機能を持っていることが頭を翳めていたのだろうか。だが、もともと筺体自体が地震に強い設計になっているはず。そこまで取り越し苦労をする必要があったのか、疑問に残る。



“ゲームが見づらい野球場”からの脱皮を図るべく、
長野市ではオリンピックスタジアムのネットポール変更を断行。
02年シーズン前に、2階席の新ポール設置工事が行われた(写真は一塁側)。
因みにこのポール、2月28日にヘリコプターで搬入された。
場外周辺は緑地帯で、重機やトラックを停めておける場所がなく、
またフィールドに重機を入れると人工芝を損傷する恐れがあるため、
それらを考慮した上での苦肉の策だったようだ。



その一塁側のネットポール、場内から見た図。


1階スタンドに降りてみると、視界はすっきり。
あの忌まわしい2本のネットポールがなくなって、
死角の問題はほぼ完全に解消し、だんだん本格的な
スタジアムの姿に近付いてきた。


 しかし、このネットポールについては02年シーズン前に改善措置がなされた。
特に、先の広島球団の指摘以降、観客や県内球界関係者からも不評だった、このグラウンドを遮っていたネットポールは撤去され、代わって2階スタンド部に改めて設置された。そして上記の写真の通り、この問題は確実にクリアされた。



2階スタンド最前列のフェンス。開場当初は白色だった。
球の行方がフェンスにかぶると、非常に見えにくい。



現在の2階スタンド前列のフェンス。
打球やプレーヤーの姿を追いかけやすい黒色に付け替えられている。
アンカーを打ち直した姿がちょっとだけ痛々しいが、
これもスタジアムを醸成させる上での措置。
一種の「名誉の負傷」みたいなものだ。


 2階スタンドの最前列にはフェンスが張られているが、開場当時、このフェンスの色は白色だった。このためスタンド前側の席では球が見えにくく、観戦上不都合だとの指摘を受けた。普通、野球場のフェンスは黒色だし、1階や外野スタンドは黒色のフェンスが張られている。黒色のほうが、球の行方が見やすいからだ。私が98年12月に改修現場を見学した際には、このフェンスは既に張られていたから、多分五輪当時のままだったのだろう。
 これについては01年度より改善され、2階スタンドのフェンスは黒色に変更された。


 もう一点は、一・三塁側のポール際の席。この付近は内野スタンドの中では最も勾配が急になっており、それぞれの座席間に最高20cmの段差が生じている。このため、外野寄りに座った観客は、隣り合わせる本塁側の観客に視界を遮られ、本塁付近が見えにくくなっている。先の設計事務所は「外野席側の方を勾配を急にしたため、その境目で段差が生じてしまった」としている。
 座席に関しては、これ以外にもまだある。これは長野オリンピック開催が伏線である。
 内野スタンドのシート・ベンチは、すべてフィールドの中央、二塁から中堅付近を向いて配置されている。最近の野球場の観客席は、観客がフィールドに正対した状態で、投捕間から二塁付近にかけてを向くように設計されているが、内野スタンド全体が開閉会式で使用した当時のままで、改修時にも座席の位置を修整しなかったため、このようなことが起こった。
 尚、これら一部の座席については開場直後の00年4月から、順次修正が行われている。


 オリンピックスタジアムの改修を担当した長野市公園緑地課では、これら3点のミスが指摘された00年春の段階で「設計、工事の段階では予想できなかった事態。予算が必要で、簡単には対応できない点もあるが、金網の色などは早急に改善する方向で検討したい」としたが、“予想できなかった事態”というのは何とも情けない話だ。これだけ素晴らしいスタジアムなのに、初歩的なミスで味噌をつけてしまった印象もある。
 とはいえ、これら問題点の一部に関しては、上記各項に付記しているように、開場3シーズン目の2002年春の段階までに、改善対策が既に完了しているか、或いは改善がなされつつあるか、もしくは改善に向けた検討が行われている段階にある。



ネット裏・一塁側から内海哲也(敦賀気比−東京ガス)を撮る。
森大輔(七尾工−三菱ふそう川崎)、田中良平(加賀−千葉ロッテ)と並んで、
“北陸三羽ガラス”と呼ばれる、速球派サウスポー。
因みに、このシートでグラウンドに正対すると、
思いっきり左中間を向いてしまう。



「フライが上がると打球が見にくい」との指摘で、
ネット裏一帯が緑色に塗装された2階スタンド。
花びら状の美しいスタンドの一角だけが
グリーンに塗られているのは勿体無いところではあるが、
プレー上の障害を取り除く上ではやむを得ない措置。
これもまた“名誉の負傷”である。


 開場して2シーズンを経た中で指摘された事項もあった。スタンドと座席の色である。
当ページ内でも触れている通り、スタンドはプレキャストコンクリート(PC)板の打ち放し。座席は灰色がかったライトパープル。要するに、全体的に白っぽいのだ。
 そうなると、フィールドで守っている野手は、高い打球が上がった時のボールの位置や距離感がつかみにくい。走りながら目測を付けるときなどには、目線を切ってしまうと打球を見失う恐れもある。
 これについては02年の改修時、ネットポールと併せて改善がなされ、2階スタンドのネット裏部分の段床がグリーンに塗られた。プレー上の障害も少しずつではあるが、解消されつつある。


 新築とはいえ、これだけの問題点を抱えていたスタジアム。しかし、目の前に転がっている問題について、長野市当局がこうしてちゃんと、我々一般市民にもきちんと見える形で動いてくれるのはありがたい話。それだけ、今後このスタジアムをプロ・アマのための競技施設として、また市民・県民が広く活用できる公共の建物として醸成させてゆこうとする姿勢が現れているといえよう。
 足許を見れば、我が新潟県内の自治体とは月とすっぽん、雲泥の差があるではないか。雑草畑と化してしまった外野スタンド、劣化したコンクリート、鉄筋が剥き出しのスタンド、地盤沈下が著しく進行し続けるフィールド…。そしてそれらは腫れ物に触れるが如きに、放置されたままになってしまっているのが現状である。県内の行政や競技団体の関係者は、長野のそれら関係者の爪の垢でも何とやら、と申し上げたい。もっとも、このオリンピックスタジアムに関することに限ってだが(他の事についてはよう解らんし…)。

便利なようで、実は結構不便 スタジアムへのアクセス
 他方、場内の設備の問題点もさることながら、交通面での問題も多い。

 球場自体は、交通の便はそこそこ悪くないロケーションにある。
 公共交通を利用する場合は、長野市内のサブターミナル的な役割を果たしている篠ノ井駅から、車で10分弱。自家用車を利用する場合は更に便利で、上信越道・長野インターから5分ほど。ほぼ国道18号線沿いで、位置的にも判り易いところにある。

 しかし、南長野運動公園内の駐車場の収容台数は800台。県土が広く、自家用車社会が当たり前の土地ゆえ、高校野球などの際には、観客の多くは車でスタジアムに乗り付ける。週末ともなると、運動公園内の他の施設の利用車両もあいまって、常設駐車場だけでは役不足で、それらを捌き切ることができない。駐車場への入退場にもひどく時間が掛かる。主催者サイドは乗り合わせや公共交通の利用を呼びかけているが、現実問題として、行き渡るのは難しいところだ。
 また、プロ野球公式戦の際にはパーク&ライドが定着しているが、(名目的には)営利が絡まない高校野球では実施されない。いずれにせよ、収容台数が不足しているのは明らか。近隣地域に駐車場を増設すべきだ。
 人工芝の問題などもあるが、この交通の便の悪さも、長野の高校球界がオリンピックスタジアムを敬遠している原因になっていることとして見逃せないファクターだ。

 だが、もっと骨を折るのは、公共交通を利用する場合だ。プロ野球やイベントなどの際は長野駅東口、篠ノ井駅からシャトルバスの運行があるので、決して苦ではない(社会人など、大会によっては運行がないこともある)。
 ところが、プロ野球やイベントのない普段は、長野市内からの郊外路線バスがスタジアム付近をかすめるだけで、最寄りバス停からでも歩いて20分前後掛かる。しかもこの路線は休日運休と、まるでアクセス路線としての役目を果たしていないのが実情である。
 また最寄の篠ノ井駅からも、バスの定期路線があるとはいえ、これもスタジアムからは遠いところを経由しており、しかも同じく休日運休。こちらもアクセス路線とはいえない。故にスタジアムへの足としては、東口のロータリーでタクシーを拾うか、或いはスタジアムまで30分程度掛けて歩いて行くしかないのである。特に土地勘の全くない、県外からの観客にとっては、非常に大きな難儀を強いられるところだ。

 公共交通の便に関しては市や、このエリアで路線バスを運行している川中島バスとの兼ね合いになるだろうが、イベント等のない時であっても、篠ノ井駅から1時間にマイクロバス1本ずつでも構わないから、普段でもある程度の利便性を保てるだけの足は確保してもらえないだろうか。
 道路事情が悪く、国道18号線を中心に慢性的な渋滞に苛まされている長野市では、市中心部と南部を結ぶ新交通システムの構想(中には、南長野運動公園近辺を経由する路線案もある)も打ち出されてはいるものの、これはまだまだ将来的な話に過ぎない。まずは現在できる範囲で、交通の利便性を向上させてほしい。