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1950(昭和25)年
06.03 毎日−東急(高田)
06.04 毎日−阪急、東急−阪急(白山)
06.05 毎日−東急(悠久山)<
雨天中止>

パ3球団による4連戦が、県内を縦断!
ランニングHRあり、コールドありの乱戦続き
 これまで新潟でのプロ野球公式戦は、専ら新潟の白山球場で行われていたが、この慣習が遂に
破られたのが、この毎日・阪急・東急による「パ・リーグ新潟シリーズ」3ヶ日4連戦である。
 新たに開催球場となったのは、高田市(現上越市)・高田公園内に前年7月に完成した高田市営
球場と、長岡市近郊・古志郡栖吉村(50年12月、長岡市に吸収合併)の悠久山公園そば、栃尾鉄
道(現越後交通)悠久山駅前に前年8月開業した、悠久山野球場。当時の悠久山は鉄道会社が設置
したものだった。
 この4連戦、主催は新潟日報社、後援は毎日新聞社。悠久山でのゲームは、球場の所有者であ
る栃尾鉄道も共催となった。

 このシリーズに帯同した3球団は、毎日オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)、4月の対南海
戦に来県するなど、新潟ではすっかり馴染み深い東急フライヤーズ、そして、これが2年ぶりの
来県となる阪急ブレーブス。毎日と東急が3日間帯同し、阪急は中日(なかび)、白山球場の変則
ダブルヘッダーで2試合をこなす形式が取られた。
 2リーグ分立の際に新設された毎日は、阪神から若林・別当・土井垣・本堂・呉らの主力を大
量に引き抜き、また、別府星野組から荒巻・西本・今久留主兄弟、大洋漁業から戸倉・河内ら、
各地の有力ノンプロ選手を入団させて補強を図った。それが実り、チームは好調を維持。パの
ダントツ首位を走っていた。
 また、このシーズン2度目の来県となった東急は、春先は滑り出しこそ好調だったものの、息
切れしたか、5割ラインを右往左往していた。主砲・大下も不調。しかし、エース・白木が連続
イニング無四球記録(74回1/3)をマークするなど、話題には事欠かなかった。
 そして阪急は、2リーグ分立の余波を受け、下位に低迷。
しかし、戦後の名将と謳われた一人、浜崎監督が手腕を発揮し、二軍の若手を積極的に起用し
て成果を挙げ始めていた頃。地味ながら堅実な試合運びで上位進出を窺っていた。


●06.03 毎日−東急(高田)
 まず、高田での1戦目。
 当日は新潟鉄道局が「ホームラン列車」と銘打った臨時列車をあつらえ、周辺町村の観客の
輸送を確保した。
 梅雨空を突いて開催されたゲーム。上越のファンは早朝から唐傘持参で球場に詰めかけた。
上越地区初のプロ野球も、客足は盛況だったようだ。

 先発は、毎日が野村武、東急が樽井。東急は本来、白木を立てる予定だったが、負傷で回避
するというアクシデントに見舞われた。また、大下も欠場。エースと主砲を欠いてのゲーム。
急遽、樽井を先発させた東急だが、球威不足が仇となった。
 2回裏、土井垣に初球を引っ叩かれ、7号ソロ。しかも場外に運ばれた。3回裏には野村武、
呉、別当がそれぞれ二塁打で2点を献上し、東急は二番手・桑名にスイッチ。
 一方、野村武は東急の雑な攻めに助けられて3回まで無失点。しかし4回表、東急は安打した
保井、常見を置いた場面で、斉藤に4号3ランが飛び出し、一気に同点に迫った。
 しかし毎日は、4回に3安打を集めて1点。5回には呉の二塁打を皮切りに3安打と犠飛で2点。
7回には本堂が7号2ラン。中盤に一気にワンサイドに持ち込まれてしまっては、飛車角落ちの
東急には為す術がない。
 東急は、ようやく8回に浜田、保井、常見、斉藤が4連打して、2点をもぎ取ったが、ここで
雨が強くなり、試合は一時中断。再開後に鈴木の犠飛でもう1点を追加したが、遂に及ばず。
結局エースと主砲を欠いたのが最後まで尾を引いた。
 打撃では若手勢が活躍したものの、外野の要でもある大下がいないのが、守備にも影を落と
した。平凡な外野フライを、目測を誤って二塁打にしてしまっては、ひんしゅくモノである。

 この試合の殊勲選手は、試合を決める7号2ランを放った本堂が選出された。毎日はこれで14
連勝で、当時のリーグタイ記録をマークした。



9回戦 (毎日 8勝1敗)
高田市営球場 -人
14:-- 開始 -時間-分(中断-分)
0 0 0 3 0 0 0 3 0 6
0 1 2 1 2 0 2 0 x 8
(勝) 野村武
(敗) 桑名
(HR) 土井垣7号(1)、斉藤4号(3)、本堂7号(2)

東 急   毎 日
(6) 皆 川 4 0 0 (6) 河 内 4 0 0
H 池 田 1 0 0 (9) 5 3 1
(4) 浜 田 5 2 0 (8) 別 当 5 3 1
(3) 保 井 4 3 0 (7) 戸 倉 4 0 0
(8) 常見昇 2 1 1 (2) 土井垣 3 2 2
(5) 斎 藤 4 2 4 (4) 本 堂 4 2 3
(9) 片 岡 3 1 0 (3) 西 本 3 1 0
(2) 上 林 3 1 0 (5) 野村輝 1 0 0
2 鈴 木 1 0 1 H 伊 藤 1 0 0
(1) 樽 井 1 0 0 5 今久留主兄 2 1 0
1 桑 名 1 0 0 (1) 野村武 4 2 1
1 常見茂 2 0 0
(7) 溝 上 2 0 0
7 寺 田 1 0 0
H 原 田 1 0 0


35 10 6 36 14 8
振2 球3 犠- 併- 残- 振1 球3 犠- 併- 残-

東 急   毎 日
樽 井 野村武
桑 名
常見茂

(審判)

(二塁打)呉3、野村武、別当
(盗塁)--
(失策)--毎2

●06.04 毎日−阪急、東急−阪急(白山)
 翌日は新潟に移動して、変則ダブルヘッダー。ダブルヘッダーも、新潟県でのプロ野球公式
戦では初の試みだった。


 さて、毎日のエース・荒巻は高田には帯同せず、2日夜、単身で新潟入り。チームを離れて、
参議院議員選挙(投票は4日)に立候補した叔父の応援のため、地元の大分に帰っていたとのこ
と。
 翌3日朝、新潟日報社の取材を受け「いやあ、どうも寝坊しちゃって…。新潟は思ったより
寒いですね」と、あいにくの空模様に苦笑い。地元に帰っていたため1週間程投げ込んでおら
ず、自らの調整不足を心配。特に白山での先発が予定されているため、記者に「夕方、軽くウ
ォーミングアップをしたいんですけど、捕ってくれる人がいませんかね」と逆取材。ここまで
13勝1敗と両リーグトップの勝ち星を挙げているチームの大黒柱は、窓越しに空模様を窺った。
 そして午後3時。白山球場に、紺の帽子にこげ茶のグラウンドコートを羽織った荒巻が現れ、
練習を開始。軽いピッチングなどを行った。ブルペン捕手は新潟クラブ・鈴木が務めた。スタ
ンドには子供達が詰めかけ、練習を終えた荒巻はたちまちサイン攻めに遭った。汗を拭いなが
ら取材に応じた荒巻は「ここのグラウンドは少し硬いが、立派なもんでしょう。1週間休んでい
るから、明日は十分投げられると思いますよ」と、身体がほぐれて自信が高まった様子。さっ
さと旅館に引き上げた。


 梅雨の怪しい雲行きの中、約1万5千人が詰めかけた、当日の白山球場。県下初のダブルヘッ
ダーに、徹夜組は前夜8時半から球場前に列をなし、少年ファンは各球団の宿舎に押しかけるな
ど、相も変わらずグラウンド外でも盛況だった。
 先に記した通り、この日は参院選の投票日。5月28日付新潟日報の紙面広告には「野球の帰り
に投票所へ」と呼びかける標語が付いた。新潟市選挙管理委員会でも、この試合の観客の棄権を
防止するため、新潟交通と協力し、試合終了後に市内の主な投票所へ向かうバスを運行する措置
をとった。

 毎日といえば、先に触れたように結成時にプロ・アマから大量引き抜きを行ったことが問題視
されたことが印象的。地方都市、ここ新潟でも“プロ野球を混乱させたのは毎日である”という
先行イメージが野球ファン諸兄の脳裏に残っているせいか、毎日は気の毒なほどに不人気。
 試合前から毎日ダッグアウトにはスタンドからの痛烈な野次が飛んでくる。しかも、場内アナ
ウンスで「ここまで14連勝」などと紹介されれば、野次のボルテージは尚一層上がる。しかしこ
の野次が、ゲームをより活気付けていたので皮肉なものだ。


(1)毎日−阪急
 第1試合・毎日−阪急は、毎日先攻で午後1時に始まった。
先発は、毎日が予想通りエース・荒巻、阪急はベテランの野口二郎を立ててきた。
 ところが1回、野口が早くも捕まってしまう。呉、別当、戸倉に3者連続本塁打(当時リーグ新
記録)を食らった。いずれも2ストライク後の甘い直球を狙われたもの。変化球の使い手らしか
らぬ、ムキな投球が仇となった。捕手・山下もリードが若過ぎた。しかし一方の荒巻も立ち上が
りが悪い。先頭の古川に初球を叩かれ、これが三塁線を破る二塁打。その後、川合の二盗失敗の
間に生還し、1点。
 だが、野口は立ち直るどころか、球威がなく投球も単調。毎日は2回、荒巻の二塁打、河内の
安打と、効率よい連打で1点。3回には別当が左中間場外にアーチ。また二死から走者2人を置い
て、野村が左中間へシングル性の当たり。しかし中堅の古川が転倒するなどまずい判断で、ラ
ンニング3ランにしてしまうなど、4失点。大勢はこれで決まってしまった。

 荒巻は、この序盤の大量得点で本調子を取り戻した。伸びる速球にドロップが冴え、5回から
8回までは三者凡退に斬って取り、阪急打線を完全に牛耳った。
 阪急は5回から、浜崎監督自らリリーフに立った。5回に1安打で1失点、7回に戸倉のソロで
1点と、まずまずといえばまずまずの内容。人を食ったような老獪な投球で、毎日打線をいなし
まくった。際どい球を「ボール!」とコールされると、マウンドで「お〜いっ!!」と声を荒げ
て審判を牽制するなど、ワンサイドの展開で退屈な観客を沸かせた。
 大量リードでダレ気味の毎日は7回、凡ミスを犯しかける。二塁打で出塁した本堂が、三塁に
土井垣がいるのを忘れ、のこのこと盗塁を試みたのだ。幸い、打者の三宅がカットしたので難
を逃れたものの、場内では野次と失笑が飛び交った。
 結局、阪急は9回に、球威の落ちた荒巻から川合、東谷、中谷が連打して2点を挙げただけ。
第一試合は10−3で、先発全員安打と打ちまくった毎日が勝ち、リーグ新記録となる15連勝の
金字塔を打ちたてた。


8回戦 (毎日 6勝2敗)
新潟市営白山野球場 15,000人
14:-- 開始 -時間-分
3 1 4 0 1 0 1 0 0 10
1 0 0 0 0 0 0 0 2 3
(勝) 荒巻
(敗) 野口
(HR) 呉4号(1)、別当16号(1)、17号(1)
戸倉13号(1)、14号(1)、野村輝1号(3、ランニング)

毎 日   阪 急
(6) 河 内 5 1 1 (8) 古 川 4 1 0
(9) 4 2 1 (3) 川 合 4 1 0
(8) 別 当 5 2 2 (9) 玉 腰 2 1 0
(7) 戸 倉 3 2 2 9 東 谷 2 1 0
(2) 土井垣 5 2 0 (5) 中 谷 4 1 2
(4) 本 堂 4 2 0 (7) 藤 井 3 0 0
(3) 三 宅 4 1 0 (1) 野 口 2 1 0
(5) 野村輝 4 2 3 1 浜 崎 1 0 0
(1) 荒 巻 4 1 0 (4) 植 田 3 0 0
(2) 山 下 2 0 0
2 伊 藤 1 0 0
(6) 内 尾 3 1 0


38 15 9 31 7 2
振3 球3 犠- 併- 残- 振4 球1 犠- 併- 残-

毎 日   阪 急
荒 巻 野 口
浜 崎

(審判)PL:浜崎、1B:長谷川、3B:上田

(二塁打)古川、荒巻、本堂、東谷
(盗塁)--
(失策)内尾

(2)東急−阪急
 第2試合・東急−阪急は、東急の先攻で2時46分試合開始。先発は東急が米川、阪急が天保。
両投手とも伸びのあるボールで立ち上がりは良かったが、第1試合でまるで打てなかった阪急打
線が、人が変わったかのように、カーブが冴える米川の投球を見極めてきた。
 まず初回、川合が四球を選び、玉腰、中谷の連続二塁打で2点。3回は古川の7号ソロで1点を
挙げ、阪急は序盤でトントンと加点した。
 しかし、天候が良くない。1回から小雨がぽつぽつ降り出し、3回あたりには降りが激しくな
りだした。
 雨でボールが指にかからないのか、失投やエラーも出る。4回、追う東急は保井の4号ソロで
追撃。その裏、阪急は植田の三塁打など3安打で2点。しかし東急は5回、浜田の適時打で1点。
6回には遊ゴロ失策でもう1点。だがその裏、野口が1号ソロを放って突き放した。
 この間、非情な梅雨空は更に雨脚を強めてゆく。野手は軟弱なグラウンドと格闘しながらボ
ールを処理していたが、6回裏、阪急の攻撃が終了したところで、球審・小島が中断を宣告。
観客はこの中断の間にぞろぞろと球場を後にしてしまった。
 残った内野の半数ほど、外野のほんのわずかの観客は最後まで雨が弱まるのを待っていたも
のの、中断から30分を経過した4時25分、降雨のためコールドゲームが宣告され、試合は雨の
中すっきりしないまま、阪急が6−3で勝利。
 しかし天保は雨に祟られたものの、ストレート、カーブ、ナックルが冴えて、6回3失点と好
投。雨中でも緩慢さを見せなかった両軍選手の動きも、ゲームを引き締めた。だが、観客の間
ではこの好投に「1試合目に天保を出しときゃ…」と嘆く声も。
 これが、新潟県でのプロ野球公式戦のコールドゲーム適用第1号となった、記念すべき(?)一
戦である。


 尚、殊勲選手は第1試合が2ホーマーの戸倉、第2試合は6回にソロアーチを放った野口が選出
された。



9回戦 (東急 5勝4敗)
新潟市営白山野球場 --人
14:46 開始 -時間-分(中断-分)
0 0 0 1 1 1 3
2 0 1 2 0 1 6
(6回裏終了、降雨コールドゲーム)

(勝) 天保
(敗) 米川
(HR) 古川7号(1)、保井4号(1)、野口1号(1)

東 急   阪 急
(6) 皆 川 2 0 0 (8) 古 川 4 1 1
(4) 浜 田 3 1 1 (3) 川 合 1 0 0
(3) 保 井 3 2 1 (9) 玉 腰 3 1 0
(8) 常見昇 3 1 0 (5) 中 谷 3 1 2
(2) 鈴 木 2 0 0 (4) 野 口 3 2 1
2 稲 川 1 0 0 (7) 藤 井 2 1 1
(5) 斎 藤 3 0 0 (6) 内 尾 3 0 0
(9) 片 岡 3 0 0 (1) 天 保 3 1 1
(1) 米 川 1 1 0 (2) 山 下 3 0 0
H 原 田 1 1 0
1 桑 名 1 0 0
(7) 寺 田 2 0 0


25 6 2 25 7 6
振4 球1 犠- 併- 残- 振4 球3 犠- 併- 残-

東 急   阪 急
米 川 天 保
桑 名

(審判)PL:小島

(三塁打)藤井
(二塁打)玉腰、中谷
(盗塁)--
(失策)斎藤、内尾

●06.05 毎日−東急(悠久山)
雨天中止
 新潟シリーズ最終戦を飾る、そして中越地区初のプロ野球公式戦となるはずだった、悠久山
野球場での5日の試合。
 しかし、3日来降り続いた雨の影響でグラウンドコンディションは最悪。協議の結果、試合
中止となった。毎日・東急両チームの選手一行は、長岡発午前11時12分の列車で帰京した。
 主催者側では、学童4,000名を含む前売入場券の関係から、延期開催について交渉したとこ
ろ、毎日球団側としても今月末か来月上旬を目途に再開催するよう努力するとして、今回の前
売券はその際使用できることとなった。

 かつてはこのように、地方試合が天候などの理由で中止になった場合、後日に延期して再開
催されるケースが多々あった。現在では到底考えられないことである。

 その後球団、連盟と折り合いが付き、悠久山のゲームは翌7月10日午後3時開始と決定した。






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04.09 H−F(白山)
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07.10 O−F(栃鉄悠久山)


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