Home-->熱戦譜/インデックス-->





1950(昭和25)年
08.22 中日−西日本(白山)

川開き初日にプロ野球、前試合には女子プロ野球
西日本猛打爆裂、先発全員安打で中日に打ち勝つ
 昭和25年、新潟県内で開催されるプロ野球の最後を飾ったのは、中日−西日本。
 8月22日(火)新潟市営白山野球場にて、新潟日報社の主催で開催。現在の新潟まつ
りの前身にあたる「川開き」「住吉祭」「商工祭」「港まつり」の初日に行われた。
当時の新潟まつりは、これら4つの祭りがバラバラに行われていたのである。
 7月27日付・新潟日報朝刊の社告には「川開きに公式プロ野球、セ・リーグの古豪
と新鋭対戦」という宣伝文句が踊っている。
 また、前試合として女子プロ野球の試合が行われることも後日決定した。8月4日
付の同紙朝刊の社告は「晝(ひる)はプロ野球、夜は花火、光彩そえる女子プロ登場」
と、華々しさを増した。

 前試合として新潟に来訪することになったのは、女子プロ野球の東京エーワンブリ
ランツと、横浜クロススターズ。前記は化粧品メーカーのエーワンがスポンサーで、
「ブリラン」とは同社のポマードの商品名。13日付同紙朝刊の広告には、試合前日の
21日に市内東中通にある新潟日報社で、エーワンブリランの外箱(150円)を持参した
先着300名に愛用者招待として、翌日の内野入場券を配布したそうである。


 さて、西日本は12・13日のセ・リーグ新潟シリーズで来訪して以来、今月2度目の
登場となった。対する中日は前年の対東急戦以来、1年ぶりの新潟である。
 中日は独走する松竹を追って2位に付けている。第23節を終わって53勝29敗1分、
勝率.646と、絶好調を維持している。これでも首位に7ゲームの大差を付けられてい
るのだから、この年の松竹の強さが窺い知れる。投手に杉下、服部、宮下。打者を
見ても西沢、杉浦、杉山らのスラッガーを擁すタレント揃いのチーム。3位の巨人が
シーズンを通じて今ひとつ波に乗り切れず、もはやストップ・ザ・ロビンスの使命
は、中日だけに与えられたも同然であった。
 対する西日本は、同じく23節終了時で32勝47敗1分、.405で8球団中6位。大洋や
阪神とは競り合う実力はあれど、試合運びのまずさからこの位置に甘んじている。
投手陣は弱体だが、打撃の破壊力はリーグ随一を誇り、チーム打率はこの時点で松
竹の.273を上回る、.274でリーグトップをマークしていた。
 この2チームの過去10回の対戦成績は、9勝1敗で中日が圧倒。投の中日が、打の
西日を抑えて優位に立っていた。第25節は新潟を皮切りに、中日−西日の5連戦。
松竹を追うにはエース級を温存する必要はなく、新潟では杉下または服部の登板が
予想された。格下を相手に、取りこぼしは許されない。
 中日・西日両チームと、女子プロ野球2チームは前日21日夕方着の列車で新潟入
り。市内の源川(中)、西山(西日)、大野屋(エ)、野口(ク)の4ヶ所に分宿した。



 さて、祭初日を迎えた、当日の新潟の風景を紹介しよう。

 この日は快晴。午前7時頃から太陽が照り付ける中、まずは第19回商工祭の広告行
列が、午前8時半に新潟商工会議所前に出揃い、球場近くの白山神社前で住吉祭行列
の後に続き、紅白幕に提灯で飾られた繁華街を神輿や御囃子、仮装に山車が華やか
に、黒山の人だかりを縫うようにして、日暮れ近くまで練り歩いた。
 夜は信濃川河畔で花火大会。大小の仕掛け花火に早打ち、スターマイン等々、約
250発が打ち上げられ、岸に橋に船にと集まった、鈴なりの観衆を魅了した。
 祭り初日のこの日はプロ野球の他、市内では県下中等庭球大会、高校水泳大会な
ども行われ、市内外から詰めかけた約30万人を興奮の坩堝に巻き込んだ。

 「不景気風を吹き飛ばそう」とばかりに、商工祭の山車の参加台数は昨年の14台
を上回る20台。山車行列の長さも昨年の3倍増しの6町にも及んだ。自動車、石油、
ゴムなどの販売会社と中華料理店の初参加が目立った。
 ところが、この山車行列が難関に遭ったのが、今年初めて設置されたネオンアー
チ。第一関門となった古町通4番町のアーチ前では、参加各社が山車の通過に四苦
八苦した。まず、日石のスタンドの山車の上部がアーチを引っ掛けて立ち往生。続
く東新潟商栄会は、上部の装飾をのこぎりで切り落とす応急措置を行うなどドタバ
タ。事前に14尺の高さ制限を設けていたものの、山車の豪華さを競う余り、通達が
行き届かなかったようである。
 こうして賑わいを見せてはいるものの、この4つの祭りの総予算は約245万円。
不景気の中、資金繰りはかなり厳しいものだったとか。





 さあ、白山球場に目を転じよう。
この日は約1万人の観客が炎天下の中、ゲームを楽しんだ。

 まずは前試合、女子プロ野球・エーワン−クロススターズ。
10時から打撃練習の後、11時試合開始。エーワンは黄色のユニフォームに緑の胸マ
ーク、クロススターズは白のユニフォームに胸に赤い星マーク、そしてオレンジ色
の背番号という、両チームとも派手な色使い。
 現在でこそ、野球やソフトボールでも女子には有望な人材が数多く出てくるよう
になったが、この頃の女子プロ野球はというと、スポーツというよりも興行、いわ
ば見世物としての要素が強く、技術は二の次という状態だったようだ。この日の試
合も技術的には見るべきものは少なかったが、それでも盗塁やバント、エンドラン
などは何とかこなし、2本の3ランまでもが飛び出した。試合はエーワンが乱戦を制
した。

東京
エーワン
ブリランツ
<前試合>
15-9
横浜
クロススターズ
※スコア等は不明につき省略



 中日−西日本は、西日が午後1時半から、中日が2時から打撃練習などの後、午後
3時試合開始。スタンドにはサインボールが投げ入れられた。先攻は中日。先発は
中日がエース・杉下、西日は新人の林を立てた。
 尚この試合、中日・天知監督は病気のため欠場した。

 まず1回表、中日は原田、国枝が連打し、一死後、野口の四球で満塁とするも、
併殺でこのチャンスを潰してしまった。
 その裏西日は、先頭の平井が安打、続く塚本が左翼線に二塁打を放って先制。続
く永利も安打で3連打。そして4番・南村がボテボテの投ゴロに倒れ、併殺かと思い
きや、これを杉下が処理を誤り、続く清原、関口にも安打を許し、結局エラーを挟
んで5安打を喫した杉下は、1アウトも取れずにKO。近藤が2番手でマウンドに上が
る。
 しかし西日は2回にも清原の適時打で1点。6回は田名綱の三塁打、四球の平井がダ
ブルスチールを敢行し、更に塚本の犠飛で2点。7回には南村、関口、日比野の安打
などで2点。8回には3安打3四球を集中して、駄目押しの一挙4点。

 一方の中日の攻撃はというと、余りにもお粗末。
杉下を初回に降ろされて、ましてや、天知監督も休み。精神的なダメージが大きか
ったのだろうか、まるで元気がなかった。
 リリーフした近藤も、カーブとナックルを駆使して不調でこそなかったが、火が
付いた西日打線の格好の餌食となってしまった。
 打線は、林が投じる内角低めの重いシュートと、外角に落ちるカーブの前に沈黙
させられ、好機を生かしきれず。3回に近藤、原田、西沢の3連打で1点、8回に2点、
9回に杉山、原田(三塁打)で2点、計5点を挙げたが、1、3、5、8回と、4度ものチャ
ンスをことごとく併殺で潰してしまった。光っていたのは4-3、三塁打1と、ひとり
気を吐いた原田くらいだった。

 結局、西日打線の元気の良さと、林の好投、中日先発の杉下の不出来ばかりが目
立ち、14-5で西日が勝ち。西日は先発全員となる16安打で圧倒し、猛威を揮いまく
った、大番狂わせの一戦だった。この試合の優秀賞(新潟日報社賞)は、完投勝利の
林に贈られた。



11回戦 (中日 9勝2敗)
新潟市営白山野球場 10,000人
--:--開始 -時間-分
0 0 1 0 0 0 0 2 2 5
5 1 0 0 0 2 2 4 x 14

(勝)
(敗) 杉下
(HR)

中 日   西日本
(9) 原 田 4 3 2 (6) 平 井 4 1 0
(4) 国 枝 5 1 0 (8) 塚 本 4 2 2
(3) 西 沢 5 2 1 (9) 永 利 5 3 1
(2) 野 口 3 1 1 (3) 南 村 5 2 2
(5) 杉 浦 4 0 1 (5) 清 原 5 2 3
(8) 加 藤 3 0 0 (7) 関 口 4 2 1
H 土 屋 1 0 0 (2) 日比野 4 1 1
8 坪 内 0 0 0 (1) 5 1 2
(6) 松 本 3 1 0 (4) 田名綱 5 2 0
(7) 杉 山 4 2 0
(1) 杉 下 0 0 0
1 近 藤 3 1 0
H 服 部 1 0 0


36 11 5 41 16 12
振2 球3 犠- 併- 残- 振2 球4 犠- 併4 残-

中 日   西日本
杉 下 0 6 5 0 0 9 11 2 3
近 藤 9 11 2 4

(審判)--

(三塁打)南村、田名綱、原田
(二塁打)塚本2
(盗塁)--
(失策)中4(原田、野口、加藤、杉下)、西日2(平井、田名綱)






<--Navigation-->
(1950)
08.13 S−P、G−T(新発田)
<--> (1950)interlude
新発田市営球場


-->熱戦譜/インデックス-->Home