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Ver.3.1
08/01/2002

新潟市営鳥屋野野球場(新潟市鳥屋野運動公園野球場)
にいがたしえい・とやのやきゅうじょう/Toyano Baseball Stadium,Niigata City


現在の新潟市内のスポーツ施設の現状を推し示す一枚。
家並みと鳥屋野潟を挟んで彼方に見えるは、新潟スタジアム・ビッグスワン。
そしてその対岸では、荒涼と崩れかけたコンクリートの塊のもとでゲームを強いられるという
理不尽な姿が、日本海側最大の都市で日々繰り広げられている。
「スポーツ・文化都市」の姿は、ここには何ら存在しない。
<09/08/2001、天皇賜杯全日本軟式野球大会>





<撮影日時>
●04/25/1998
 プロ野球・イースタンリーグ公式戦
 巨人−日本ハム2回戦
  ※尚、この試合は小雨の中で決行され、
   互いに点を取り合ったものの、結局
   9−9で9回降雨コールドとなった。
   しかし当時、試合は充分続行できる
   程度の小雨。実際のところは、照明
   の不備による“日没コールド”とい
   うことになるのかもしれない。
●09/08-09/2001
 天皇賜杯全日本軟式野球大会
●その他、2000年4〜01年8月に亘って撮影
〒950-0948 新潟市女池南3-6-4
・1963年8月完成
・グラウンド面積:12,547平方m
 両翼:97m(1989年拡張、旧=90m)
 中堅:120m
・内野:クレー舗装、外野:天然芝
・14,000人収容
 車椅子席:5(介助者付添いを推奨)

●これまでのプロ公式戦開催実績
 パ=23試合・HR71
 セ=20試合・HR27
 計=43試合・HR98

●交通
・JR新潟駅南口より新潟交通バス
 「笹出線経由女池愛宕」行
・JR新潟駅万代口より
 「西跨線橋経由女池愛宕」
 「産業センター前」行
 共に「野球場・科学館前」下車すぐ
*駐車場あり(但し収容台数少なし)

●球場の位置
 

新潟市

 1964年の新潟国体に合わせて作られた野球場
で、新潟県内では収容人員が多い部類に入る野
球場。但し、その数字は上の通り。この数字か
ら見ても、この球場が時代にそぐわなくなって
いることが解る。
 正式名称は上記の括弧書きの方。数年前、市
の直接管理から、新潟市の下部組織に管理体制
が移管した。しかし、銘板は上の写真の通り、
入れ替えられることがないまま、放置されてい
る。

 右の写真の通り、内野スタンドへはこのスロ
ープを登って入っていく。階段を登り降りする
必要がなく、その面では便利ではある(この辺
りは東京スタジアムを模したという説があるが
定かではない)。



<車でお越しの場合>
・北陸・磐越道、新潟中央IC、料金所から県庁
 方面へ直進…
・新潟バイパス、女池インターを県庁方面に
 降りる…
どちらも、女池上山交差点(マクドナルド角)
を右折し紫鳥線に入り、アルペン手前を右折
後、直進すぐ。
高校野球公式戦などの際には駐車場が非常に混
み合うため、できるだけ公共交通機関を利用し
て来場されることをお勧めする。

 スタンドは内野9,680人、外野4,320人収容。
内野スタンドは勿論、全席座席が付いている。
セパレート式ではあるものの、総てベンチシー
トで背もたれはない。
 写真右側の、一段下がった灰色のエリア。
ここは他の内野席がFRP製の椅子を備えているの
とは異なり、コンクリートのベンチである。
 しかも、ここはいわばエアポケットで、スタ
ンドそのものも鉄筋コンクリートではなく土盛
りである。それだけにとどまらず、改修もほと
んど行われていない。それが証拠に、一部のベ
ンチは、粉々に割れたり大きなひびが入ったり
している。それについては詳しく後述する。

 実は、この鳥屋野球場の周辺は、40年以上前
は沼地であった。旧地名、字(あざ)の「前潟」
という名がそれを示す通り、鳥屋野潟の周辺に
あった池を埋め立てて開発が進められたのが、
この女池(めいけ)南地区一帯なのである。
 鳥屋野球場がデビューした64年の新潟国体閉
幕直後、6月16日に襲った新潟地震では、フィー
ルドの亀裂・液状化やスタンドの一部崩落など
甚大な被害を受け、翌65年春までのシーズンを
棒に振ったという手痛い経験がある。
 初めてプロ野球が開催されたのはその翌年、
66年5月3日のサンケイ−広島4回戦だが、この
時は前日来の雨に祟られ、フィールドはぐしゃ
ぐしゃ。懸命のフィールド整備の甲斐あって、
何とか開催にこぎつけたものの、当時のサンケ
イ球団・徳永喜男営業部長に「沼地の上にある
上、水捌けが良くない。グラウンドも粘土質。
決して良いコンディションではありません」と
酷評されるなど、設備の悪さは完成して間もな
くから指摘され続けていた。

 その頃よりは、かなり改善されてきてはいる。
事実、80年代までは、フィールドは本当に粘土
質で、内野は黄土色をしていたくらい。雨が降っ
たら即沼地、という風情を曝していた程だ。
 89年にフィールドの改修をしたあたりからよ
うやく黒土や砂が増えたが、それでも水捌けは
相変わらず悪く、強い雨が降ったら、捌け切れ
なくなった雨水がダッグアウトの膝下まで溜ま
ってしまう程だ。


 スコアボード。余りにも御粗末である。

 まず、時計がない。安打数・失策数も表示す
ることができない。左端の審判表示部が小さ過
ぎる。何故か回数表示は11回迄という、何とも
中途半端なスコアボードである(DH制対応のため
に改修された際の名残りと思われる)。
 更に御解り頂けるだろうか、三塁側9番と、
一塁側5番の打順ランプが異様に出っ張ってい
る。どうも昔、ぶっ壊れて後付けしたらしいの
だが、理由は定かではない。
 記録ランプの上には「只今」の二文字が。
まあ、見た目ノスタルジックではある。

 内野スタンドには普通、補助のカウントラン
プと記録ランプが設けられているが、無論、こ
こにはそのような設備は設けられていない。


 このスコアボードは、かつてここでプロ野球
公式戦が開催されるたび、「プロ野球ニュース」
(フジ系)など、テレビの全国ネットで大きく映
し出された。トタン屋根がめくれたその姿には
えも云われぬ程の恥ずかしさと怨めしさとを感
じたものである。
 因みに一時、電動式に改修するという構想も
あったが、結局なくなった。無理もない。



※拡大なし
 小休止。

 98年・イ・G−F、本日の審判。


 尚、既に写真をご覧頂いている通り、この球場
には照明設備はない。薄暮時や練習などで使用で
きる程度の簡易的なものも含めて、一切ない。
社会人の試合などでは日没コールドになることも
ある。
 80年前後には、県内の野球関係者などが上越新
幹線の開通を見込み、プロ野球のナイター開催を
目指して照明設備の設置を求めたこともあったも
のの、球場自体の設備が不備であること、周辺の
宅地化が進んでいることなど、現実的には不可能
であったため、結局空論に終わってしまった。

 鳥屋野球場は、音響面も非常に弱い。
スタンド全体にアナウンスが行き渡らないこと
も多々ある。スピーカーの絶対数が少ない上、
中音域ばかりが目立ってしまう旧式のラッパ型
スピーカーが多く使われていることも起因して
いる。この近くを国道8号・新潟バイパスが通っ
ているが、アナウンスが時折車の通行音に掻き
消されることもたびたびあり、外野スタンドで
は全く聴き取れないことすらある。勿論、外野
にはスピーカーなし。もっともここ数年、外野
スタンドは滅多に開放しなくなったのだが。
 01年に改修された際、以前内野スタンド上屋
に引っ付いていた箱型スピーカー(既に使われて
いなかったが、錆び朽ちたままぶら下がってい
た)をようやく取り外し、新しいものに付け替え
た。


 01年の改修ではこの他、スタンド下の通路に
もスピーカーを設置するなど、これらにより音
響面に関しては若干の改善が見られた。とはい
え、スタンド上のスピーカーは上屋のものだけ
で、観客が多い時には一、三塁側のポール際ま
で来てしまうと、アナウンスは全く聴き取れな
い。
 「アナウンスが聴こえない」ということは、
試合進行の状況が把握できないという通常観戦
している上での話はもとより、万が一災害が発
生した際には避難誘導などの面で、致命的な設
備不備にもなりかねない。一層の改善が求めら
れるところである。

 因みに、このスタンド下の通路を見上げると、
そこには荒涼とただれたコンクリートが張り付
き、高校野球の夏の県大会の後などには、観客
が飛び跳ねるなどしたことに起因したと見られ
るコンクリート片の小規模な崩落などが確認で
きる。



※拡大なし
 フィールドレベルについてだが、概ね5〜6年
に一度のペースでメンテナンスが行われ、土の
入替えと外野の芝の張替えなどが行われる。
しかし、毎年丁寧にやっているのか、というと
そうでもない。年によっては外野の守備位置が
真っ白になっていることもある。高校野球・夏
の県大会のメイン球場となった時には、入場行
進時の動線の影響で、中堅から二塁にかけて、
一直線にフィールドが掘れてしまう。

 外野フェンスは2mと低すぎる。エンタイトル
二塁打はしょっちゅう出る。
左の写真、アンツーカー部にいる日本ハム・花
増トレーニングコーチ(当時)と、フェンスの高
さを比べてみて欲しい。
因みに、花増さんは177cmである。

 両翼は97.6m、中堅は120m。
但し、距離表示は切捨てで「97」とされている
ため、当HPでは97mとする。
 拡張が行われたのは89年の改修時。この年に
は巨人−大洋戦が開催されたのだが、それに伴
う措置だったようだ。ポール際付近の搬入口周
辺で、ファウルエリアが急にラインと平行にな
っているが、これは拡張の名残りである。

 因みに、新潟県内でプロ・アマ硬式の公認規
格をクリアしている球場は僅か。高校野球の公
式戦・各種オープン戦を開催する県下12球場で
はたったの3箇所(五十公野、三条市民、悠久山)
に過ぎず、また両翼99.1m以上のプロ規格をク
リアするのは三条市民球場、ただ一箇所だけで
ある。
 鳥屋野は両翼はアマ規格に適合するものの、
中堅は拡張されておらず、規格より約1.9m狭い。

 トイレはメインスタンドのネット裏と一、三
塁側、外野スタンド入口にある。車椅子トイレ
は三塁側通路に1箇所、5平方mの広さがある。
 メインスタンドのトイレは全て水洗(左は三塁
側スタンド下の男子トイレ)。外野スタンドのト
イレは汲取り式。

 因みに、鳥屋野球場は「赤水の出る球場」と
酷評されていた時期がある。シャワールームで
蛇口をひねると、あたかも往年のヒッチコック
の映画「サイコ」よろしく、赤い水が流れ出て
きたという。鋼管が錆びて、使い物にならなく
なっていたのだ。これらが改善を見るのは給水
系統の完全改修を行った、93年シーズン中のこ
とだ。


 スタンド上に車椅子席が設けられている球場
は、県内ではまだまだ数少ない。事前申込みに
より本部席の一部分を開放する球場はあるが、
それとてまだまだ少数派である。

 鳥屋野球場は81年夏、県内の球場で初めて、
内野スタンド三塁側中段通路に車椅子席(幅12m
奥行1.5m、4〜5席分)を設置した。元々、観客
の入退場にスロープを使う構造なため、障害者
でも気軽に観戦できるようにと、配慮した上で
のことだという。因みにここ、この年8月23日
の南海−西武・ダブルヘッダーから供用開始予
定だったものの、折からの台風の影響で試合は
中止になっている。


 しかし実際のところは、スタンド出入口のスロ
ープの傾斜が急なため、普通の手押し式の車椅子
の場合は、スタンドへの昇降には手助けが必要に
なる。私自身、ここで観戦している車椅子のお客
さんは残念ながら、一度も見たことがない。
 もっとも、車椅子席の付近はファウルボールも
時折飛んでくるという、足の不自由な方にとって
は危険な箇所。個人的な見解だが、そもそもここ
に車椅子席を設置したこと自体に無理があったの
ではないだろうか。
 そもそも“バリアフリー”だの“ユニバーサル
デザイン”だのといった概念が出てくるよりもず
っとずっと遥か昔の建物に、これ以上を求めるこ
と自体が無茶なのかもしれない。


1962.12 着工
63.08 竣工
64.06 新潟国体
新潟地震で被災、翌春まで復旧工事
66.05 初のプロ公式戦(サンケイ−広島)
81.08 車椅子席設置
84.05 内野スタンド改修完工(FRPベンチ設置)
86.05 ラバーフェンス設置
87.06 ロッカールームなど改修
89.05 フィールド改修、外野拡張など
90.03 バックネット張替え
93.06 給水系統、シャワールーム改修
95.07 フィールド改修、緑地帯整備など
96.06 最後のプロ公式戦(近鉄−西武)
2001.03 フィールド改修、ラバーフェンス一部
張替え、防災設備改修、ゲストルーム
設置、本部席改修、冷房増設など
 ざっと大まかに場内の状況を説明したが、左に
改めて、これまでの鳥屋野球場が辿ってきた道程
のうち、改修などに関する主なものを示す。
 細々とした改修は80年代以降、何度も行われて
いるが、建物そのものに対する抜本的な補強や改
修は行われておらず、場内の多くの箇所で経年劣
化が著しく進行している。

 3年程前、市教委など関連機関に鳥屋野球場の
老朽化に関して問い合わせたことがあるのだが、
「耐震検査や補強など、建物の強度について改善
をする意思はあるか」という問いに対しては「そ
のような予定は特にありません」という答えが返
ってくるにとどまっている。

 ということで、以下は鳥屋野球場の老朽化に関
して、この場を借りて問題提起したい。


 まず、メインスタンドのネット裏最上段にあ
る上屋。ところどころで鉄骨の露見が見られた
り、コンクリートの石灰分が遊離して氷柱(つ
らら)のように垂れ下がったりと、見るも哀れ
な姿である。
 チョークで「ハガレ」「遊離石灰」「クラッ
ク(ひび)」「浮き」などと書き込まれたその姿
は、余りにも痛々しく、危なっかく、そしてそ
れらをも超越して物哀しさすら漂わせている。


 かつてコンクリートは建設現場で打つしかな
く、スタンドの構造物もすべて、鉄筋の周囲に
木枠をあてがい、そこにコンクリートを流し込
み、乾燥させて立ち上げたものである。
 上の写真、中央部の突起は木片。コンクリー
トを流し込む際に、木枠の一部を一緒に打ち込
んでしまい、凝固した後、木枠を取り外す際に
残ってしまったもののようだ。木片は既に遊離
石灰に包まれ、時空の流れを感じさせる。


 その上屋を見上げれば、そこには無数の鉄筋
が露見していることが解る。
 既にコンクリートは悲鳴を上げ、細く弱々し
い鉄筋は赤黒く錆び付いて、必死にSOSを叫び
続けている。しかし、叫びは全く届かない。

 鳥屋野球場の特等席は、この上屋真下にあた
る、ネット裏上段という不文律が、いつしか観
客の間でできあがっている。フィールド全体を
俯瞰できる視界の良さと、日差しや降雨を避け
ることができるというのがその理由。高校野球
のラジオ・テレビ各局の実況席も、この真下に
設置されている。
 しかし、果たしてそこは安全なのか?

 非常に解りにくいのだが、実は内野スタンドは
細かくいうと5分割されている。ネット裏、一・
三塁側の鉄筋部、そして一・三塁側の土盛り部、
というふうになるのだが、ネット裏部分と一、三
塁側との間には継ぎ目がある。この継ぎ目を跨ぐ
ようにして、階段が設けられている。

 実はこれが曲者で、この付近は過去、何度も何
度もひびが入っている。その都度コーキングなど
で埋めるのだが、如何せん表面しか埋めないため
に、蹴つまずくたびに「ボコッ!」と鈍い音がし
て、またひびが入る…。その繰り返しだった。
 スタンド下の通路部では、この継ぎ目から階下
の本部席通路が丸見えだったのだが、さすがにそ
れでは警備上問題があるということで、01年改修
時に合わせ、通路の隙間と共に、スタンドの階段
もようやく、継ぎ目が分厚く埋められた。
 ところが、曲者は曲者。中段の通路では、この
継ぎ目の不自然な段差に足を取られ、つまずいて
転びそうになる観客がかなり見られた。悩みの種
は、到底消えそうにない。

 後で解ったことだが、この継ぎ目の部分にはラ
バーシートか何かをあてがい、その上に塗装を施
しただけの、ごく簡易的な措置しかなされていな
かった。夏場になると、照り返しの熱で膨張した
この部分は大きく盛り上がり、上を歩くとベコベ
コする。

 コンクリートの劣化が進んでいる以上は、表面
に防水加工を施して水分の浸透を抑制し、劣化を
これ以上進行しないようにする必要がある。
 防水コーティングは、これまではスタンド段床
部のネット裏部分(緑の座席)だけにしか施されて
いなかったが、01年の改修で一、三塁側鉄筋部の
2列目まで(黄色の座席2列分。フィールドレベル
でいうと、ダッグアウト上まで)施工箇所が延び
た。
 しかし、残り3列分(黄色の座席の残り1列と、
赤い座席2列全て)に関しては、未だに防水塗装は
施されぬまま。右の写真のように、階段のコンク
リートが剥離している箇所もあちこちにある。

 逆三角形をしたネットポール。
バックネットは90年に張り替えられている。
ポールに打ち込まれたリングの赤黒さが目立つ。

 リングを支える裏側のボルトと鉄板も、赤黒く
錆びている。
 尚、下の写真では劣化状態が解りにくいが、
拡大したものは露出を変えて、はっきり解るよう
に加工してあるので、ご覧頂ければ幸いである。


 午後は薄暗い、三塁側の出入口。
反対の一塁側にも出入口があるが、通常は観客の
入退場にはスロープのみが使われており、現在は
双方とも臨時の出入口として、ごくまれに開放さ
れるだけである。

 外から、三塁側入口の銘板を見る。
「三」は3本とも不規則に曲がり、「口」はプレ
ートが脱落して、枠だけが残っている。
 因みに、入口上の通路にある水色の設備は車
椅子用トイレ。先の通り、稼動機会は僅かだ。


 口を開けた欄干。

 不規則に浮き出した鉄筋。


 スタンドの段床部に防水塗装をするのも当然重
要だが、その裏側にも、コンクリート片の崩落を
防止するために塗装を施すのが定石。晩年の川崎
球場でも、スタンドの裏側にはきちんと塗料が塗
られてあった。不測の事態を防ぐためだ。
 ところが、先にスタンド下通路に関して触れ
た際にも指摘した通り、鳥屋野ではここには塗装
はなされていない。高校野球の夏の大会の後など
には、通路下に細かいコンクリートの破片が散乱
しているというありさまである。

 そして風景が内野スタンド土盛り部に移ると、
その無惨さは一層加速する。
 まず一塁側。継ぎ目のところで大きく段差が生
じているのがお解り頂けるはずだ。

 正面から見ると、段床を支えるブロックは粉々
に砕け、上のベンチが大きく浮き上がっている。
 既に観戦するスペースとしては用を成さない程
にまで、この箇所は老朽化が進んでいるのだ。


 代わって三塁側の土盛り部。今度は外側から。
植生なり芝生なりで、綺麗にしてあるのならまだ
しも、このように雑草が生い茂っているという、
余りにも無惨な姿だ。外野スタンドも同様だ。

 継ぎ目の状態は、一塁側に勝るとも劣らず。
ブロックが砕け、縦に真っ二つになっている。

 ポール際のベンチ。経年劣化で板が外れてしま
ったが、補修されることもない。


 しかしどういうわけか、土盛り部上段のコン
クリート壁は新しい物に入替えられているのだ
から、変な話だ。
 だが、その壁の前には隙間が生じている。

 因みにこの箇所の上段には、89年のG−W戦
の際には工事現場などで使う足場を組んで、計
500人分の仮設スタンドを増設したことがある。
普通であれば、消防法等々などの絡みで許可な
ぞ下りないものだが、特例として認められたよ
うだ。
 もっともそれ以前に、東京ドーム開場以降に
ここで巨人主催の公式戦が開催された、という
事実自体が、ちょっとした奇跡にすら感じてし
まう。

 外野スタンド入口は両翼ポール際とバックスク
リーン裏の3箇所。
 かつては外野にも入場券売場があったが、既に
埋め固められ、外に突き出した窓口のテーブルだ
けが、往時の隆盛を物語ってくれる。

 スコアボード棟を裏側から見ると、より一層そ
の弱々しさを感じさせる。歪んだトタン屋根、く
すんだモルタルの壁で囲まれた小さな箱を、か弱
そうな細い鉄骨群が支えている。

 翩翻と立つ新潟市旗。市章は「五に錨」。


 小ネタ。

 県旗が真逆。

 昨今の禁煙・分煙化の動きに合わせ、県内の屋
外スポーツ施設でも最近、スタンド内を禁煙とす
るところが多くなっている。01年5月にオープン
した新潟スタジアム・ビッグスワンももちろん、
スタンド内は終日禁煙である。
 鳥屋野球場も01年の改修にあわせ、スタンド内
を禁煙とする措置をとっている(高校野球などで
は、独自に何度か禁煙措置をとった事がある)。
 しかしそのことに関して、常設して観客に伝達
している手段は、この喫煙所(内野スタンド4箇所)
の小さな手書きの看板だけである。故に、9月に
使用を再開した際には、スタンドで喫煙する観客
が多勢いた。
 新潟市内のスポーツ施設、とりわけ老朽化した
ものについては、場内の設備案内にピクトグラム
(イラストや文字などを図案化したもの)を使用し
ている箇所は皆無。長岡市悠久山野球場は、通路
からスタンドに至る階段部分にスタンド内が禁煙
である旨を知らせる看板を掲げ、喫煙所の利用を
促進させるなど、分煙を積極的に呼びかけている
が(それでも年配の方などは、スタンドで平然と
煙草をくゆらせているが)、それとは好対照だ。

 01年の改修では、本部席や会議室などのリフォ
ームに重きが置かれており(そもそも、今までゲ
ストルームすらなく、冷房の入っている部屋もな
かった程、設備は陳腐なものだったが)、スタン
ドそのものにはほとんどと言っていいほど、手が
入っていない。県内メディアなどが伝える「開場
以来最大規模の大改修」というのは、陳腐化し、
不備な面が多かったスタンド下の部分を抜本的に
改修したという意味合いに於いては、理解できな
くもない(メディア的には“自分達の仕事場が綺
麗になった”というだけで糠喜びしているきらい
もあるが)。確かに、投入された額は過去最大規
模のものだった。
 しかし上に示した通り、スタンドそのものに対
してなされた措置は、防水コーティングの面積が
増えたことと音響面の改善のみ。それ以外、観客
が直接目に触れる部分に関しては、ほとんど改善
を見ていないことが解って頂けるかと思う。

 そればかりか02年、夏の高校・県大会では、試
合開催中に電力使用量が許容量をオーバーし、ブ
レーカーが下りて停電するなど、試合運営面でも
大きな不都合を被るケースもある。
 売店担当氏によれば「ブレーカーは時々落ちる
ことがある」というくらいだから、数年来に慢性
的に発生しているものなのだろう。

 この鳥屋野と、70年完成の小針の両球場に関し
ては、ほとんどまともなメンテナンスを受けない
まま経年劣化が著しく進んでいる。市では10年程
前から、新潟市清五郎に予定されている県立野球
場とはまた別に、後継となるべき新しい市営球場
を黒埼地区に建設する方針を明らかにしているも
のの、これとて県立球場の建設計画の不安定さや
長年の財政難などに翻弄され、未だに具体化して
いないのが実情である。

 52万人を抱える日本海側最大の都市・新潟。
既に廃墟と化した、名ばかりの「野球の殿堂」は
いったいいつになれば日の目を見ることができる
のだろうか。そのファイナルアンサーは誰一人と
して、出すことはできない。

 恒例・おまけ。

 普通、市町村には災害時の避難場所が設定され
ているが、鳥屋野球場がある女池地区の一時避難
場所には鳥屋野運動公園のうち球技場、鳥屋野交
通公園、そして新潟江南高校の、この地区の文教
施設一帯が指定されている。
 が、右の写真をご覧頂けば解る通り、球場だけ
は何故か、避難場所から指定を除外されているの
である。野球場はふつう、避難場所にするにはも
ってこいの施設。県外の自治体には、野球場や陸
上競技場などのスポーツ施設を、災害用の備蓄基
地に使用しているところも多いというのに、だ。
 故に新潟市当局も“鳥屋野球場は、地震が来た
ら倒壊するかもしれない”という認識を持ってい
ないわけではないのだろう。では、なぜ補強しな
いのか、と云ったならば、そこからはきっと果て
しない堂々巡りになってしまうが(笑)。

旧Ver.はこちら


(C)2001,niigata-boro.net
無断転載はお断りします。




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